山上から長江を望む、歴史と酢文化の鎮江|上海周辺お出かけ

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鎮江市は上海から高速鉄道で約1時間余りの距離の都市です。歴史的な街並みの西津渡歴史文化街、三国志武将ゆかりの北固山公園、特産品の鎮江香酢の博物館などなど、見どころがいっぱいです!このページでは筆者が訪れた鎮江市内のおすすめスポットを紹介します。


鎮江市の概要

鎮江市は上海の北西およそ250kmに所に位置し、高速鉄道で約1~1.5時間ほどの距離です。高鉄の主な駅で言えば、上海→蘇州→無錫→鎮江→南京という感じですが、観光地としてはややマイナーなイメージです。上海人の知り合いに「鎮江に行く」というと「何があるの?」という反応でした。ところが行ってみると意外に見どころが多く、結構穴場スポットなのでは?と感じました。

上海站または上海虹橋站から鎮江站まで、高速鉄道は1時間に2~4本ほど出ています。鎮江南站も入れるとさらに便が多いので、上海からのアクセスは良好です。

西津渡歴史文化街

西津渡は長江と京杭大運河の合流点にあたり、古くから江蘇省・浙江省など南部地域から北京など北部地域への、南北を結ぶ水上交通の要でした。その渡し場としての利用は3世紀頃の三国時代に始まり、唐代には機能が完備されたとのことです。

地区内は青砖(青レンガ)灰瓦(灰色の瓦)の古代建築の街並みが広がっています。西津渡歴史文化街自体へ入るのは無料で、24時間出入りできます。

西津渡地区内の鎮江博物館は入場無料、有料の観覧地点には観音洞、救生会(宋代に始まった水上救命機構)などもあります。

西津渡地区内の雲台山の頂上には雲台閣(云台阁)という楼閣があります。

入山口は、夜19時頃にはロープが張ってありましたが、朝は7時から入れました。頂上までの道は石の階段が整備されています。小さい子供さんを連れた親子連れも多かったです。

途中の展望スポットからは西津渡の街並みを見下ろすことができます!

15分ほどの登山で頂上に到着です。頂上の云台阁の開館は9時からで、今回筆者が行った時間は7時過ぎだったので建物の周りだけ見学しました。

中国の建物の入り口でよく見かける石獅子、ここではちょっと珍しい場所に。

雲台閣(云台阁)
入館料:20元 / 観音洞・救生会とのセット券:40元
開館時間:9:00-17:00(入場停止16:30)
予約:Trip.com・大众点评・携程旅行

中国醋文化博物館

料理好きな方なら恒順(恒顺)というブランド名を聞いたことがあるのではないでしょうか。黒酢や醤油などで有名なメーカーで、特に恒顺香醋は上海ガニを食べるときにつけるお酢として知られています。鎮江はこの恒顺香醋の創業の地で、醋文化博物館は黒酢の歴史や製法などについて学べる博物館です。

70年代の工場を模して造られた工房内には、ほんのり黒酢の香りが漂います。酢を作るにはまず酒を造り、酒を造るにはまず麦曲(麹こうじ)を作る…恒順の黒酢には大麦・小麦・豌豆を原料とする麹が使われているそうです。「曲qū」という字は「麹」という意味があることを初めて知りました。

発酵中の原材料を混ぜられるコーナーもあり、混ぜるとつんとした匂いにむせるほどでした。

黒酢を試飲できるコーナーもありました。コップの底にほんのちょっとだけでも直飲みはやっぱりすっぱい!(笑)…お酢は凉拌菜やカニと一緒にいただくのがいいですね。

ミュージアムショップもあり黒酢や醤油などが販売されています。購入した商品は支払い時に申し込めば発送してもらえます。上海までの配送料は35元でした。ちょっと高めですが、調味料は重いので持ち歩かなくていいのは助かりますね。筆者の場合、発送から翌々日に上海の自宅に届きました。

観覧所要時間は筆者の場合、博物館到着からショップを出るまでおよそ1時間20分でした。

中国醋文化博物館(中国醋文化博物馆)
入館料:40元
開館時間:9:00-17:00(入場停止16:00)
予約:Trip.com・大众点评・携程旅行など

焦山風景区

焦山風景区は長江の中州にあり、頂上は海抜約70m、周囲約2kmの島です。焦山は「書道の山(书法之山)」と呼ばれており、崖に彫られた石刻(摩崖石刻)や書が刻まれた石碑の収集(碑林)、焦山頂上に立つ塔・万佛塔、古炮台などの見どころがあります。

入園の当日券は風景区入り口右のチケットセンター(票务中心)で購入できます。Trip.comでは前日まで割引価格で予約購入できます。

風景区へはレトロな屋形船に乗って入ります!見た目はレトロですがスピードはかなり速いです!対岸の風景区まで約5分で到着です。

入ってすぐに定慧寺というお寺があります。山頂までいくつかルートがありますが、筆者は碑林、古砲台(古炮台)を通って万仏塔(万佛塔)へ向かいました。

碑林はいわば石碑の博物館のようなもので、様々な時代・様々な書体の石碑が展示されています。古砲台(古炮台)はアヘン戦争の際に築かれた防衛拠点で、当時の大砲もありました。

古砲台から頂上まで登ること約10分。石の階段が整備されていますが、勾配が結構きついのでいい運動になります。頂上には塔(万佛塔)があります。塔の内部は公開されていないので外観の見学のみです。中国らしい極彩色でありながらちょっと古びた感じが逆にいいなと思います。

帰りは摩崖石刻を通るルートから降り、再び船で対岸に戻りました。

所要時間は筆者の場合、風景区南門(チケット売り場)到着から出るまでおよそ1時間20分でした。

焦山風景区
開園時間:3-10月 8:00-17:30(入園停止16:30)
入園料:65元(往復渡し船含む)(当日券)
予約:Trip.com(前日まで)

北固山公園

北固山は「天下第一江山(天下第一の風景)」として世に名を知られている山だそうです。園内には北固楼、「天下第一江山」石刻、三国志ファンにとっては甘露寺、魯粛・太史慈の墓所、試剣石などの見どころがあります。

北固楼から見下ろす長江の眺め

地図内の「景区主入口」、改札の隣にチケット売り場があります。

北固楼に登ると長江の眺めが広がります。…とは言うものの、実はこれは長江の湾の一部で、奥の陸地の向こう側が本流です。それでも十分に長江の雄大さを感じました。先に訪れた焦山も遥か遠くに見えます。

園内には劉備が孫権の妹・孫尚香と結婚したという甘露寺があります。

甘露寺にまつわる「劉備招親」という有名な言葉があり、直訳すると「劉備の婿入り」。三国志演義には次のようなエピソードがあります。
呉の提督・周瑜は劉備を暗殺する計略を練ります。それは主君である孫権の妹・孫尚香との結婚を持ちかけて劉備を荊州から呼び寄せるというものでした。

しかし孫尚香本人も孫権の母親も、劉備と対面するとすっかり彼のことを気に入り、本当に二人は結婚することに。周瑜の暗殺計画は失敗に終わり、劉備は孫尚香と二人で荊州へ帰っていった…というお話です。

また北固山を表す「天下第一江山」の石刻も甘露寺の近くにあります。六朝時代の皇帝が北固山の風景に感銘を受けて「天下第一江山」と書き記したのが由来で、現存するこの石刻は清代のものだそう。

景区出口付近には呉の武将・魯粛と太史慈のお墓があります。こういうレリーフがあるのは中国らしくていいですね。魯粛は筆者のイメージ通り、太史慈は渋くてかっこいい!

北固山公園の観覧所要時間は筆者の場合、南門到着から出るまでおよそ1時間30分でした。

北固山公園
開園時間:8:00-17:30(入園停止16:30)
入園料:30元(当日券)
予約:Trip.com(前日まで)

金山風景区(金山寺)

中国には白蛇伝説(白蛇传)という有名なお話があり、金山風景区内にある金山寺はそのゆかりの地です。

白蛇伝説を簡単に説明すると次のような話です。

白蛇の精・白娘子許仙という人間の若者と出会って恋に落ち、正体を隠して結婚します。しかし金山寺の高僧法海に正体を暴かれ、夫を金山寺に連れ去られます。白娘子は金山寺で法海と戦い、夫を取り返します。その後夫婦には子供が生まれ、しばらくは幸せな生活が続いたものの、再び法海が現れ、白娘子を西湖の塔に封じ込めます。白娘子は妹に助け出されますが人間界で暮らすことをあきらめ、夫と子供を残して天に昇って行ったのでした。

なんとなく法海が悪役っぽい感じですが、何はともあれ、金山寺は白蛇伝説の舞台の1つであります。

お寺に入ると、慈寿塔のあるところまで階段を登っていきます。

金山寺公園は湖の中にあり、頂上からは湖が一望できます。この湖岸で白娘子は蝦兵蟹将を連れて戦ったのでしょうか。

慈寿塔は中には入れませんが、すぐ隣まで登って見られるので迫力があります。屋根の曲線と、壁の黄色と赤い欄干のコントラストが美しいですね。

所要時間は、労働節休暇で大行列だったため慈寿塔の観覧のみで約1時間でした。

金山風景区(金山风景区)
開園時間:8:00-18:00(入園停止17:00)
入園料:50元
予約:Trip.com

市内の交通手段

鎮江市内は公共交通はバスしかないので、タクシーがおすすめです。筆者は1泊2日の旅行中ですべてタクシーを利用し、運賃は合計150元(約3000円)弱でした。

労働節休暇中だったので観光地内は人が多かったですが、タクシーはほとんど待つことなくアプリ(滴滴)でどこでもすぐに呼ぶことができました。

今回行った中では、最も移動距離が長かったのが醋文化博物館から金山寺までで、30分で36元(約720円)でした。バスだと上記のルートで2~3元ですが、1時間半くらいかかる上、乗り継ぎが必要、バス停から歩く距離が長い、と色々大変なので、やはりタクシーがおすすめです。

まとめ

鎮江市内のおすすめスポットの紹介は以上です。鎮江は、西津渡の歴史的な町並みを散策したり、山上から長江を望んだりすることで、この地の水運の歴史を肌で感じることができます。このページを読んで鎮江に興味を持たれた方は、ぜひ一度訪れてみてください。

おまけ・鎮江で出会った石獅子たち

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