威厳と美のレンガ|蘇州御窯金磚博物館

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蘇州駅の北東4kmほどのところにある蘇州御窯金磚博物館は、金磚(金砖)と呼ばれるレンガをテーマにした博物館です。初めて知ったときは、レンガの博物館?そんなニッチな…と思いましたが、行ってみると内容豊富で見ごたえがあり、大変興味深い博物館でした。このページではその蘇州御窯金磚博物館についてご紹介します!

金磚とは何?

中国の城壁や家屋などの古代建築には青みを帯びた灰色のレンガが多く使われており、これは青磚(青砖)と呼ばれています。「磚」はレンガを意味します。

一方、この御窯金磚博物館は金磚(金砖)をテーマにしています。金磚とは明・清時代の宮殿建築のために造られた特別な敷レンガのことです。北京の天壇や、故宮内の太和殿などの床には蘇州で造られた金磚が使われているそうです。

「金磚」という呼び名の由来については諸説あり、レンガのきめが細かく叩くと金属のような音がするから、という説や、首都(北京Bei jing)へ運ばれたことから「京砖」と呼ばれ、時が経つにつれ「京jing 」が似た音の「金jin」に変わったという説があるようです。

「御窯金磚博物」の「御窯」は、専ら皇帝のためのレンガを焼く窯、ということなので、日本語にすると「御用窯」ということになるのでしょうか。

一般的な青磚(左)と金磚(右)です。色は同じような青灰色ですが、金磚は表面のきめが細かく滑らかで、サイズも一辺が50㎝以上と大きいです。

金磚の製造工程

一階の展示室では粘土をレンガにする工程が紹介されています。蘇州市の北東に位置する相城区は質のいい粘土が取れたため、ここを拠点に金磚が造られたようです。床に昔の地図が描かれてあり、現在博物館がある地区の周囲には数多くの窯が立ち並んでいたことがうかがえます。

粘土で製造の様子を再現したパノラマは精緻で素晴らしいです。粘土の選定、精製、型入れ、陰干し、焼成など、製造工程の様子がよく分かります。パネルの説明には日本語も書いてあり助かります(翻訳は微妙ですが大体の意味が分かります)。

この茶色い粘土のレンガが焼くと青灰色に変わるのはほんとうに不思議です。

レンガの焼成には、なんと4カ月以上もかかるそうです!火を止めた後、窯に水を注入して水蒸気を発生させて冷却することで、青灰色を帯びたレンガになるのだそうです。

窯のミニチュアがあり、上に乗っている人の大きさと比べるとその巨大さがよく分かります。

金磚の運搬と敷設

2階展示室ではレンガの運搬と敷設の工程が紹介されています。当時はこのような木造船で京杭大運河を渡り北京まで輸送していたのですね。

レンガの輸送時はこのように縄や菰、木箱などで厳重に梱包されて運ばれたそうです。都城に着いた後も、敷設前に水平を測るなど、数々の工程を踏み細心の注意が払って施工された様子が伺われます。

窯の遺跡

展示館の外では窯の遺跡の実物と複製された窯が見学できます。遺跡の方は中には入れませんが、周りのレンガの煤け方に歴史を感じます。

下の写真は複製窯で、こちらは中に入ることができます。

中は外から見るよりもずっと広く、天井が高くて幻想的な空間です。

北京の故宮にある太和殿、中和殿、保和殿などの床はこの蘇州で造られた金磚が敷き詰められ、現在でも見ることができるとのことです。

ワークショップ

文創体験館(文创体验馆)では、子供さん向けの粘土作品作りや、大人向けの陶芸体験など、様々な手作りができます。参加は現場でもしくは電話で申し込み、完成した作品は郵送で届けてもらえるそうです。

まとめ

蘇州から北京までは、現在の高速鉄道でも5時間以上かかりますが、その遥かな道のりを、膨大な労力と時間をかけて最高の素材を造らせ運ばせる…。この博物館を見学すると、当時の皇帝の権力の強大さを実感させられます。そして同時に、「皇帝専用のレンガ」だけをテーマにこのような大きな展示施設を作り上げる、現代中国のスケール感にも圧倒されます。

蘇州御窯金磚博物館の紹介は以上です。いかがでしょうか。もしこのページをご覧になってご興味が湧きましたら、ぜひ訪れてみてください。

苏州御窑金砖博物馆(蘇州御窯金磚博物館)
開館時間:月~日曜 9:00-17:00(16:00入場停止)
入館料:無料
予約:不要
住所:蘇州市相城区陽澄湖西路95号
電話:0512-66182178
苏州御窑金砖博物馆
苏州御窑金砖博物馆

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